「源泉徴収ってどんな意味?」
「フリーランスで源泉徴収の対象になる仕事は?」
「源泉徴収税額の計算方法が知りたい」
このように悩んでいませんか?
会社員時代には勤務先から源泉徴収票を渡されていたけれど、源泉徴収の意味を理解していなかったという方もいるのではないでしょうか。
フリーランスは自分で税金の管理をする必要があるため、源泉徴収という制度からは避けて通れません。しっかり源泉徴収を理解して、スムーズに確定申告や請求書の手続きをしたいですよね。
そこでこの記事では、フリーランスの源泉徴収について解説します。
- 源泉徴収の意味
- フリーランスで源泉徴収が必要な仕事
- 源泉徴収税額の計算方法
- 注意すべき5つのポイント
源泉徴収の知識を身につけて、何をすればいいのか理解したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
フリーランスが知っておくべき源泉徴収とは?概要を解説
まずは、フリーランスが抑えておくべき源泉徴収の基本的な知識について解説します。
- 源泉徴収とは
- 会社員との違い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
源泉徴収とは
源泉徴収とは、給与や報酬を渡す側の事業者が、国に対して所得税を差し引いた分の金額を納付する制度です。
この源泉徴収という制度は、税金の徴収漏れを減らすために行われます。
フリーランスや個人事業主の場合、クライアント(企業や事業主)が報酬から税金を差し引いて、納付してくれているのです。
なお、源泉徴収で差し引いた分の税金は、請求書に書かれているので、自分でも確認できます。
会社員との違い
源泉徴収における会社員とフリーランスの違いは、以下の通りです。
- 会社員は年末調整で金額の差額を調整する
- フリーランスは確定申告で金額の差額を調整する
会社員の場合、本人の代わりに会社が税金を差し引き、年末調整によって源泉徴収を行ってくれます。
一方で、フリーランスは自分で税金を計算し、確定申告を行わなければいけません。
このように源泉徴収といっても、会社員とフリーランスでは向き合い方が異なります。
【ケース別】フリーランスで源泉徴収が必要な仕事
一言でフリーランスといっても、源泉徴収の対象になる仕事は限定されているのです。こちらでは、源泉徴収の対象になる仕事と、ならない仕事をケース別に解説します。
- 源泉徴収の対象になるケース
- 源泉徴収の対象にならないケース
ご自身の仕事が源泉徴収の対象になるのか、考える参考にしてみてください。
源泉徴収の対象になるケース
国税庁の「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」によると、源泉徴収の対象になる範囲は、大きく以下の8つに分類されています。
- 原稿料や講演料、デザイン料など
- 特定の資格を持つ人に支払う報酬(弁護士や公認会計士など)
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球やサッカーの選手、モデルなどに支払う報酬
- 芸能人の出演等や芸能プロダクションを営む人に支払う報酬
- 宴会などで接待を担当するコンパニオンやホステス支払う報酬
- 役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
Web系のフリーランスの場合「原稿料や講演料、デザイン料」という項目が、源泉徴収の対象になる可能性が高いです。
例えばWebライターであれば、執筆の他に校閲も原稿料に含まれます。デザイナーであれば、Webや広告、インテリアなどのデザインが対象です。
上記以外にも様々な仕事が源泉徴収の対象になる可能性があるので、自身の業務について調べておくといいでしょう。
源泉徴収の対象にならないケース
人気があるフリーランスの職種の中でも、以下のような仕事は源泉徴収の対象になりません。
- Webサイトの制作やコーディングなど、デザイン以外のエンジニア業務
- 企業経営には関わらないコンサルティング業務
- 行政書士の一般的な業務(建築代理士の業務以外)
例えばコンサルティング業務に関しては、WebコンサルタントとしてWebサイトを改善するためのアドバイスを行うのであれば、源泉徴収は不要です。
なお、業務が多岐にわたる中で、源泉徴収の対象になる仕事とならない仕事を担当するときがあります。その場合は報酬を区分して、源泉徴収を行わなければいけません。
【ケース別】源泉徴収税額の計算方法
こちらでは、源泉徴収税額を計算する方法について、ケース別に解説します。
- 1回の支払い金額が100万円以下のケース
- 1回の支払い金額が100万円を超えるケース
源泉徴収税額の計算方法は報酬の金額によって変化するので、ぜひ理解しておきましょう。
1回の支払い金額が100万円以下のケース
クライアントから支払われる金額が100万円以下の場合、源泉徴収税額は「支払われる金額×10.21%」といった計算方法で導き出せます。
10.21%というのは、所得税と復興特別所得税が合計された値です。
例えば、クライアントからの報酬が50万円と仮定してみましょう。上記の計算方法に当てはめてみると「50万円×10.21%」で、源泉徴収税額は51,050円です。
源泉徴収の対象になるフリーランスとして活動していて、支払われる金額が100万円以下のケースでは、約10%の源泉徴収税額がかかると覚えておきましょう。
1回の支払い金額が100万円を超えるケース
クライアントからの報酬額が100万円を超えるケースでは、源泉徴収税額は「支払われる金額–100万円)× 20.42%+102,100円」で計算します。
100万円以下のケースと異なるのは、二段階税率が適用される点です。二段階税率は、報酬額が100万を超えた場合、もしくは手取契約であれば手取金額が897,900円を超えた場合に適用されます。
例えば150万円の報酬を受け取ったと考えてみると、源泉徴収税額は「150万円–100万円)× 20.42%+102,100円」なので204,200円です。
それぞれのケースを見ることで、二段階税率によって源泉徴収税額が大きく増加することがわかります。
フリーランスが源泉徴収で注意すべき5つのポイント
フリーランスの源泉徴収に関しては、会社員と異なり、自分で管理しなければいけません。こちらでは、フリーランスが特に注意すべき源泉徴収のポイントを解説します。
- 確定申告で忘れずに申告する
- 請求書の書き方を理解する
- 事前にクライアントへ確認する
- 復興特別所得税が課される
- 自分が源泉徴収義務者になることがある
将来的に損をしないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1.確定申告で忘れずに申告する
確定申告をするときは、源泉徴収で差し引かれた金額についても申告するようにしましょう。
というのも、すでに源泉徴収されていたにも関わらず、さらに確定申告で源泉徴収税額を記載せずに申告してしまうと、税金の二重払いになってしまうからです。
また、源泉徴収で支払った所得税は、正確な金額ではありません。確定申告によって、多めに支払った所得税が還付金として返還されるケースがあるので、損をしないためにも申告しましょう。
なお、源泉徴収された場合は、確定申告書の中にある「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」という項目に、1年間で差し引かれた金額の合計を記載してください。
たとえ源泉徴収の合計金額を記載し忘れたとしても、5年以内に更正の請求を行えば還付を受けられます。
2.事前にクライアントへ確認する
フリーランスの場合、源泉徴収に関する話について事前にクライアントへ確認しておきましょう。
お互いの認識がズレていると、請求書を提出するときにトラブルが発生する可能性があります。そのため、以下のような項目について、事前に話し合っておきましょう。
- クライアントが源泉徴収しているかどうか
- 請求書に書く報酬金額は内税か外税のどちらがいいか
- 請求書に記載して欲しい項目はあるか
内税と外税とは、報酬金額に消費税を含むかどうかを意味します。源泉徴収税額に影響があるので、しっかり確認することが大切です。
3.請求書の書き方を理解する
請求書を作成するときは、クライアントに理解してもらいやすい書き方を意識しましょう。
仕事の報酬が源泉徴収される場合は、請求書を書くときに源泉徴収税額を含める必要があります。
また、請求書の書き方に関して、以下の3つの項目を分けて記載すると親切です。
- 報酬
- 消費税
- 源泉徴収税額
最近では、マネーフォワードクラウド請求書やMisocaといったソフトを活用すれば、簡単にわかりやすい請求書が作れます。
請求書の書き方については、以下の記事で細かく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
▼フリーランスが請求書を書く方法について知りたい方はこちら▼
>>【まるわかり】フリーランスに必要な請求書の書き方!発行するタイミングやポイントも紹介
4.復興特別所得税が課される
現在は、源泉徴収税額にプラスして復興特別所得税が課されます。
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興を目的とした施策に必要な財源を確保するために、源泉徴収のときに、追加で徴収される特別税です。
平成25年1月1日〜令和19年12月31日の間は、源泉徴収税額を計算するときに、復興特別所得税を含める必要があります。
復興特別所得税率は、クライアントからの報酬額が100万円以下なら0.21%、100万円を超える場合は0.42%です。
税率の計算は複雑になりますが、復興特別所得税を忘れずに納付するようにしましょう。
5.自分が源泉徴収義務者になることがある
他の個人事業主やフリーランスに仕事を発注すると、自分も源泉徴収義務者の立場になることがあります。
つまり、源泉徴収義務者として、発注した相手への報酬から税金を差し引いて、国に納める必要があるわけです。
ただし、法人ではなく個人事業主の場合で、以下の条件のいずれかに当てはまる方であれば、源泉徴収をする必要はありません。(参考:国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」)
- 常時2人以下のお手伝いさんのような家事使用人だけに給与を支払っている
- 給与などの支払いがなく、弁護士や税理士などに報酬のみを支払っている
例えば一人でフリーランスとして働いている方が、別のフリーランスライターに発注したと仮定します。この場合は従業員を雇っていないので、源泉徴収をする義務はありません。
このように法人化していない場合であれば、フリーランスが源泉徴収義務者の立場になる状況は限られます。とはいえ、数名の従業員を雇うくらい事業規模が大きくなったら、源泉徴収義務者になることがあると理解しておきましょう。
源泉徴収税額の管理がラクになるおすすめの会計ソフト3選
会計ソフトで源泉徴収税額の管理を行えば、自動で合計額を計算してくれるので非常に便利です。こちらでは、フリーランスの味方である会計ソフトを紹介します。
- freee会計
- マネーフォワード
- 弥生
ぜひご自身が気になる会計ソフトを活用してみてください。
1. freee会計
freee会計は、シェアNo.1のクラウド会計ソフトです。
マルバツ形式の質問に回答するだけで、簡単に確定申告用の書類を作成できます。
freee会計に向いているのは、初めて会計ソフトを使う方です。専門用語が少ないので、会計や簿記に詳しくない方でも直感的に理解できます。
freee会計の料金プランは以下の通り。
- スターター:年払い980円/月(年間11,760円)
- スタンダード:年払い1,980円/月(年間23,760円)
- プレミアム:年払いのみ3,316円/月(年間39,800円)
これから会計ソフトの導入を考えている方なら、freee会計がおすすめです。
2.マネーフォワード
マネーフォワードは、freee会計と並ぶ人気の会計ソフトです。
数ある会計ソフトの中でも、マネーフォワードは金融機関やサービスとの連携が豊富という特徴があります。合計で2,300以上に対応しているので、取引明細データを自動で取得可能です。
- パーソナルミニ:年払い800円/月(年間9,600円)
- パーソナル:年払い980円/月(年間11,760円)
- パーソナルプラス:年払いのみ2,980円/月(年間35,760円)
と、freee会計よりも安く利用できます。
さらに1ヶ月間の無料トライアルがあるので、気になる方は気軽に登録してみてはいかがでしょうか。
3.弥生
弥生は、会計に特化したコスパの良い会計ソフトです。
経理や会計の知識がある方にとっては、操作画面がシンプルで利用しやすいという特徴があります。
プランは3つありますが、セルフプランとベーシックプランの2つは、最初の1年間が無料で利用が可能です。
- セルフプラン:次年度以降の年払い8,800円/年
- ベーシックプラン:次年度以降の年払い13,800円/年
- トータルプラン:次年度以降の年払い24,000円/年(初年度の年額12,000円)
なるべく安く会計ソフトを利用したい方には、弥生をおすすめします。
2,480円で10種類以上のビジネスを学べる「人生逃げ切りサロン」
人生逃げ切りサロン は、約5,000名のメンバーが所属している、フリーランス系のオンラインサロンです。- プログラミング
- 動画編集
- Webデザイン
- ライティング
- ネット物販
所属しているだけでプログラミングや動画編集の講座を受講できたり、ビジネスで成功を収めている人と交流できたりと、数多くの特典が魅力です。
参加料金は月額2,480円もしくは年額26,400円とリーズナブルなので、これから「将来を考えてビジネスを始めたい」という方にピッタリ。
ビジネススキルを身につけて、人生を逃げ切りたいと考えている方は、ぜひ加入をご検討ください!