フリーランスでも領収書の発行が必要!書く際に記載が必要な8つの項目と保管方法を解説

「フリーランスでも領収書の発行って必要なの?」
「領収書に記載する項目を詳しく知りたい」
「領収書を発行したらどのくらいの期間保管すればいいの?」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

フリーランスでも、領収書の発行が必要なケースがあります。領収書の発行を依頼されたのに拒否した場合、クライアントは、お金の支払いを拒否できるため、要注意です。

また2023年10月から施行されたインボイス制度や、2024年1月から電子帳簿保存法の改正にも対応しなければなりません。そこで本記事では、フリーランスの領収書について以下の内容を解説します。

  • 領収書に記載すべき項目
  • 領収書の保管方法
  • フリーランスが領収書を発行する際のポイント

フリーランスの領収書の取り扱いについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

フリーランスでも領収書の発行が必要なケースがある

フリーランスでも、領収書の発行が必要になるケースがあります。代金を受け取った証明として、クライアントから領収書の発行を求められたときです。

民法486条で、取引の際に代金を受け取ったものに対して、領収書やレシートなどの受取証書の発行を請求できると、定められています。

領収書を請求されたのに発行しなかった場合、クライアントは支払いを拒否できるため注意が必要です。

しかし以下のケースでは、領収書を発行しなくても問題ないとされています。

  • クライアントから何も言われていない
  • クライアントと領収書の発行を取り決めていない

逆にフリーランスからクライアントに、領収書の発行を依頼したほうがいいケースもあります。経費計上の際に、事業にかかわる支出であることを証明するときです。

事業に関わる支出は経費として扱えますが、領収書がないと支払いを証明できません。経費計上できない可能性があるので、取引先に領収書の発行を依頼した方がよいでしょう。

参考:法務省 民法第486条【受取証書の交付請求】改正の概要

フリーランスが領収書を書く際に記載する必要がある6つの項目

ここでは、フリーランスが領収書を書く際に、記載しなければならない6つの項目を紹介します。

  1. 発行した日付
  2. 宛名
  3. 受け取った金額
  4. 但し書き
  5. 発行者名
  6. 印鑑

項目をきちんと記載して、正しい領収書を発行しましょう。

1. 発行した日付

領収書には、発行した日付を書きます。以下のように、年月日での記載が必要です。

  • 2023.10.1
  • 令和5年10月1日

西暦や年号を正確に記載しましょう。

2. 宛名

領収書を受け取る取引先の会社名や、支払い者の氏名を記載します。株式会社〇〇や一般社団法人〇〇のように、正式名称を記載する必要があります。

(株)や「一社」などと、省略しないように注意しましょう。

3. 受け取った金額

領収書には、実際に受け取った金額します。商品やサービスの代金であれば、税込金額を記載しましょう。数字の記載ミスや計算間違いに注意してください。

金額の改ざんを防ぐために、以下のルールに則って記載しましょう。

  • 金額の先頭に¥(円マーク)や金をつける
  • 3桁ごとに,(カンマ)で区切る
  • 金額の語尾に「-」「※」「也」をつける

例えば、5,000円を受け取った際は「¥5,000円-」と、記載します。

4. 但し書き

但し書きも、領収書に必要な項目です。但し書きは、受け取った金額が具体的に何の代金なのかを記載したものを指します。「〜として」と、記載するのが一般的です。

但し書きの一例は以下のとおりです。

  • 食事代として
  • 消耗品として
  • 書籍代として
  • 原稿料として

該当する商品・サービスが複数ある場合は、最も高いものを記載します。

2023年10月から施行されたインボイス制度対応の領収書に書く但し書きには、商品やサービス名を記載する必要があります。領収書が適格請求書に該当する場合には、必要事項をきちんと記載しましょう。不備があると領収書の受け取り側が、仕入税額控除を受けられなくなるので要注意です。

5. 発行者名

領収書には、発行者である自身の氏名や住所を記載します。記載方法は特に決まりがないので、手書きや印刷などで問題ありません。

6. 印鑑

領収書に印鑑がなくても、法的に問題ありません。しかし、偽造防止のために押すのが一般的です。

印鑑を押していなくても、領収書として扱われます。取引先によっては、押印を求められるケースがあるため、念のために準備しておきましょう。

インボイス制度対応で領収書に記載が必要になった2つの項目

ここでは、2023年10月1日から施行されたインボイス制度対応の領収書を発行する際に、必要になった項目を解説します。

  1. 税率ごとの内訳
  2. 適格請求書発行事業者の登録番号

「インボイス対応の領収書を発行してほしい」と、依頼された時のために詳しい内容を確認しておきましょう。

1. 税率ごとの内訳

インボイス制度対応で領収書には、税率ごとの内訳を記載しなければなりません。

例えば、軽減税率の商品2万円と、標準税率の商品4万円を購入した場合は、以下のように記載します。

合計金額 ・税込価格(8%):24,000円

・税込価格(10%):44,000円

消費税額 ・消費税額(8%):4,000円

・消費税額(10%):4,000円

軽減税率8%と標準税率10%の項目に分けて、税率ごとの合計金額と消費税額を記入しましょう。

2. 適格請求書発行事業者の登録番号

インボイス制度対応で領収書には、適格請求書発行事業者の登録番号の記載が必要です。

登録番号とは、税務署に認められた適格請求書発行事業者に発行される番号のことを指します。税務署に課税事業者として登録している場合は、記載しなければなりません。

登録番号に間違いがあったり領収書の内容に不備があったりすると、クライアント側は仕入税額控除を適切に受けられません。発行した取引先に修正した適格請求書の提出を依頼する手間が発生します。

記載内容に間違いがないか確認してから、領収書を提出しましょう。

領収書の保管期間

領収書は確定申告期限の翌日から、以下の保管期間が定められています。

  • 青色申告:7年間(前々年の事業所得もしくは不動産所得の金額が300万円以下の場合は5年間)
  • 白色申告:5年間

発行する場合と受け取った場合、どちらも同様の保管期間が規定されています。領収書の色によって、保管期間が異なるので、注意しましょう。

また領収書をインボイス対応として使用する場合は、保管期間が7年間と定められています。適格請求書発行事業者として登録をしたフリーランスは、領収書を捨てたり紛失したりしないように7年間保管しましょう。

参考:国税庁 記帳や帳簿等保存・青色申告

領収書の保管方法2選

ここでは、領収書の2つの保管方法について解説します。

  1. ファイルにまとめる
  2. 電子保存する

領収書の発行の仕方で、保管方法が異なります。電子保存に関する2024年1月から施行される新制度についても解説するので、ゆっくり読み進めてみてください。

1. ファイルにまとめる

紙の領収書は、月別やクライアント別にファイルにまとめておきましょう。税務署から経費について尋ねられた場合、領収書を見返して確認したり、提出したりしなければならない可能性があるためです。

税務調査は確定申告ごとに行われるため、事業年で分けておくと、後から見返しやすくなります。

必要に応じて領収書を取り出しやすいように、分類して保存しておくのがおすすめです。

2. 電子保存する

領収書は電子保存して、デジタルで管理が可能です。電子形式で受け取った領収書は、電子帳簿保存方法によって、電子保存しなければなりません。電子帳簿保存法の改正により、2024年1月以降からすべての事業者に対して、電子取引への対応が義務化されます。

メールに添付されたPDFやECサイト・Webサイトから受け取った請求書や領収書は、電子取引とみなされます。受け取った請求書や領収書は、電子データのまま保存しなければなりません。

対応しない場合、電子取引ができないため、以下のような問題が起こる可能性があります。

  • 電子化せず紙だけでやり取りする事業者とだけしか取引できない
  • 電子化している事業者に対し、自分とやり取りする際は紙での対応を依頼しなければならない

近年では、デジタルに対応している企業が増えているのが実情です。ビジネス活動に支障をきたす恐れがあるので、きちんと対応しましょう。

紙で受け取った領収書についても、スキャンして電子保存が可能となっています。電子保存すれば、紙で受け取った原本は処分しても問題ありません。

電子保存は収納スペースの削減や、業務の効率化につながります。

参考:国税庁 電子帳簿保存法の概要

フリーランスが領収書を発行する際の4つポイント

条件のイメージ

ここでは、フリーランスが領収書を発行する際の4つのポイントについて解説します。

  1. 金額が5万円以上の場合は収入印紙の発行が必要
  2. インボイス制度では3万円未満の取引でも領収書が必要
  3. 領収書の再発行に応じる義務はない
  4. クレジットカードでの支払いでは領収書の発行は不要

順番に確認していきましょう。

1. 金額が5万円以上の場合は収入印紙の発行が必要

領収書の金額が5万円以上の場合は、収入印紙の発行が必要です。売上代金別の収入印紙にかかる費用は、以下のとおりです。(参考:国税庁 No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書)

5万円以上100万円以下のもの 200円
100万円を超え200万円以下のもの 400円
200万円を超え300万円以下のもの 600円
300万円を超え500万円以下のもの 1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 2,000円

領収書に収入印紙が必要になるのは、税抜で5万円以上です。収入印紙を領収書に貼り付けた場合、領収書と印紙をまたいで印を押す「消印処理」を行います。

領収書を電子形式で発行する場合は、金額にかかわらず収入印紙の発行は不要です。

2. インボイス制度では3万円未満の取引でも領収書が必要

インボイス制度では3万円未満の取引でも、領収書の発行が必要となります。

従来では取引金額が3万円未満の場合、領収書がなくても、記載条件を満たしている帳簿があれば、仕入税額控除が適用される特例がありました。

インボイス制度では特例が廃止され、3万円未満の取引でも、適格請求書の領収書がなければ、仕入税額控除が受けられません。

インボイスに対応する場合、消費税の二重課税を解消するためには、3万円未満の取引でも領収書を発行しましょう。

3. 領収書の再発行に応じる義務はない

クライアントから領収書の再発行を依頼されても、応じる義務はありません。1つの取引で何枚もの領収書を発行すると、以下の不正などに加担してしまう可能性があります。

  • 経費の二重計上
  • 経費の架空計上

「紛失してしまった」と言われて再発行を行っても、実際は紛失した事実はないケースもあります。どうしても断れない場合は、作成した領収書に再発行がわかるような文言を記載しておきましょう。

4. クレジットカードでの支払いなら領収書の発行は不要

代金をクレジットカード払いにした場合、領収書の発行は不要です。クレジットカード払いは、クライアントから直接代金を受け取るわけではなく、カード会社から受け取る形になるためです。

クレジットカードで支払った後に、クライアントから領収書の発行を命じられても、応える義務はありません。

もし領収書を発行する場合は、クレジットカード払いで代金が支払われたことを記載しておきましょう。

フリーランスが領収書を扱う際の3つの注意点

ここでは、フリーランスが領収書を扱う際の注意点を3つ解説します。

  1. 領収書を受け取る際は宛名を記載してもらう
  2. 領収書を受け取れなかった場合は出金伝票を使用する
  3. 独立前の領収書も保管しておく

領収書を正しく扱うために、注意点を把握しておきましょう。

1. 領収書を受け取る際は宛名を記載してもらう

領収書を受け取る際は、必ず宛名を記載してもらいましょう。自分の氏名や屋号を正しく記載してもらうことが大切です。

宛名が空白だったり「上様」と記載されていたりすると、誰が支払ったか明確にわかりません。支払いが事実であっても、税務調査が入ったときに、問題視される可能性があります。

トラブルを避けるためにも、宛名の欄は正しく記載してもらいましょう。

2. 領収書を受け取れなかった場合は出勤伝票を使用する

領収書をもらえなかったり、発行を頼みづらかったりするケースでは、出金伝票を使用しましょう。

例えば以下のケースでは、領収書の代わりに出金伝票を使用します。

  • 自動販売機での購入
  • 祝儀・香典
  • ネットでの取引
  • バス代

出勤伝票は、以下の項目を記入して作成しましょう。

  • 支払い日
  • 支払い先の名称
  • 勘定科目
  • 内容
  • 金額

出勤伝票の保管期間は、領収書と同様に7年間です。控えは捨てずに必ず保管しましょう。

参考:国税庁 No.5930帳簿書類等の保存期間

3. 独立前の領収書も保管しておく

独立前の領収書も「開業準備費」として経費にできるため、捨てずに保管しておきましょう。

例えば以下のような開業にかかった費用は、経費として計上できる可能性があります。

  • 広告費用
  • 名刺を作った費用
  • パソコンの購入費(10万円以下)
  • ホームページ制作費用
  • フリーランスになるために参加したセミナー費用

処理できる期間は厳密に定められていませんが、半年〜1年が目安です。

開業にかかわる費用だと証明できれば、広い範囲で適用されるので、独立前の領収書は必ず保管しておきましょう。

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