「個人事業主が契約書で気をつけることは?」
「トラブルに巻き込まれずに仕事をしたい」
「契約に関するトラブルを避けるための対策はある?」
個人事業主になって、クライアントと業務委託契約を結ぶ方も多いでしょう。
業務委託とは、会社が個人事業主に対して、自社の業務を外注するための契約です。
契約書が必要とは聞いたものの、どの項目が大切なのかわからず悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
重要な項目のチェックを忘れて報酬が減ったり、トラブルに巻き込まれたりするのは避けたいですよね。
そこでこの記事では、個人事業主の契約書に関する以下の内容を解説します。
- 個人事業主が契約書を作成するべき理由
- 注目するべき項目
- よくあるトラブル
- トラブルを回避する対策
契約書に関するトラブルを回避して、安全に仕事に取り組みたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
個人事業主が契約書を作成するべき2つの理由
法律では、契約書の作成が義務付けられていません。
義務でないにもかかわらず、なぜ個人事業主は契約書を作成した方がいいのでしょうか。
実は契約書を作成する行為には、2つの大きなメリットが存在するのです。
- トラブルを避けるため
- 自分の身を守るため
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1.トラブルを避けるため
個人事業主が契約書を作るべき理由は、取引中のトラブルを回避するためです。
契約書を交わさずに口頭で取引した場合、両者の主張にすれ違いが発生し、後にトラブルへつながる可能性があります。
- 代金が支払われない
- 契約を一方的に切られた
- 高額な損害賠償を請求された
など、個人事業主が陥りやすいトラブルは、契約があいまいであるケースが多いです。
あらかじめ契約書を作って必要事項を記載しておくことで、取引中や納品後のトラブルを回避できます。
2.自分の身を守るため
取引前に契約書を作成しておくことで、自分の身を守りやすくなります。
というのも、案件を受注する個人事業主は、仕事を発注するクライアントよりも立場が弱くなりやすいです。
そのため取引中にトラブルが発生したり、クライアントから理不尽な要望を受けたりすると、個人事業主側が泣き寝入りしなければならないケースがあります。
クライアントと対等な立場で取引をするためにも、個人事業主は契約書を作成した方がいいでしょう。
個人事業主が契約書を確認するときに注意すべき10個の項目
こちらでは、個人事業主が契約書で確認すべき項目を解説します。
- 契約の目的が記載されているか
- 業務内容がハッキリしているか
- 報酬単価は適切であるか
- 契約期間が提示されているか
- 法律に違反していないか
- 損害賠償の金額が高すぎないか
- 期間内の契約解除ができるか
- 機密情報の扱い方が厳しすぎないか
- ミスがあったときの対応期間が長すぎないか
- 納品物の権利がどちらにあるか
注意不足で取引後に大きなリスクを抱えないためにも、しっかり確認しておきましょう。
1.契約の目的が記載されているか
契約書を確認するときは、取引の目的が記載されているか注目しましょう。
個人事業主がクライアントと業務委託をするとき、契約には以下の2つのケースがあります。
- 請負契約
- 委任契約
請負契約とは、個人事業主が成果物を納期内に提出することで報酬が支払われる契約形態です。個人事業主は成果物の質に責任を持つ必要があるので、完成度が低い場合は修正して再提出しなければいけません。
一方で、委任契約とは、個人事業主が業務に取り組むことで報酬が支払われる契約形態です。個人事業主はプロとしての実力が求められますが、成果物に対して責任を持つ必要はありません。
契約書に請負契約か委任契約なのか記載があれば、目的が明確に記載されていると考えていいでしょう。
2.業務内容がハッキリしているか
契約書に、業務内容の詳細が記載されているか確認することが大切です。
取引前に業務内容がハッキリしていれば、クライアントと個人事業主の間で、仕事内容のすれ違いが起きる可能性を減らせます。
逆に業務内容があいまいなまま契約を交わすと、以下のようなトラブルが発生する可能性が高いです。
- クライアントから仕事を何度も追加される
- 仕事内容が変更されて報酬が減る
- 修正回数が増える
両者のムダな対応を減らすためにも、取引前に業務内容を細かく確認しておきましょう。
3.報酬単価は適切であるか
契約を交わす前に、自分が希望する報酬金額をもらえるのか確認することが大切です。
クライアントが契約書を作成している場合、個人事業主が希望する金額よりも報酬が低い可能性があります。
そのため、報酬金額に不満がある場合は、取引を開始する前に交渉しましょう。
また仕事内容と報酬単価が適切か知るために、案件情報サイトやエージェントなどを活用し、相場を確認するのがおすすめです。
4.契約期間が提示されているか
契約期間を明確に決めておけば、納期の前後に起こるトラブルを回避しやすくなります。
具体的には、納期や報酬の支払い日が契約書に記載されているか確認しましょう。
また、契約期間だけでなく、報酬の支払い期限も決めておく必要があります。契約期間が終了したのに、報酬が支払われないというトラブルを避けるためです。
契約期間を交渉するときは、体調不良やトラブルによって納品が遅れる可能性があるので、余裕を持ってスケジュールを組むといいでしょう。
5.法律に違反していないか
業務委託をするときは、契約書の内容が法律に反していないか十分に注意する必要があります。
たとえ個人事業主側に悪意がなくても、知らない間に犯罪に手を貸してしまったり、クライアントにだまされたりする可能性があるからです。
- クライアント側が気づかずに違法な仕事を発注していた
- 報酬単価が相場より極端に低い
- 劣悪な環境で働かされる
などの被害があるので、契約前のリサーチが大切です。
調べても法律に違反しているか判断できない場合は、専門家に相談してから契約を交わすように心がけましょう。
6.損害賠償の金額が高すぎないか
損害賠償は、クライアントと個人事業主のいずれかに契約違反があった場合に備えて、金銭で埋め合わせする項目です。
具体的には、以下の項目について制約をかけましょう。
- 損害賠償責任の範囲
- 金額
- 請求期間
特に個人事業主は、企業に比べて払える金額が少ないので、なるべく賠償金が低くなるように交渉する必要があります。
一方的な請求を避けるためにも、損害賠償の上限を設定することが大切です。
7.期間内の契約解除ができるか
取引期間内に中途解約が可能であるか、契約書の記載を確認しましょう。
業務委託の場合、契約書に中途解約に関する条件の記載があれば、取引の期間が終了する前に契約を解除できます。
契約解除が有効な場面や条件に関する規定を設けておくことで、個人事業主側から中途解約の申し出が可能です。
取引の途中でトラブルが発生したときに備えて、事前に契約解除が可能か確認しておきましょう。
8.機密情報の扱い方が厳しすぎないか
業務委託で発注される仕事には、個人情報や企業秘密が含まれています。
そのため、取引時の情報漏えいを防ぐために、秘密保持の項目が契約書に記載されていることが多いです。
秘密保持契約は、取引終了後にも義務が課されることがあるので、条件が厳しすぎないか確認しておくといいでしょう。
機密情報の扱い方は、クライアントによって厳しさが変化するため、契約前の確認が大切です。
9.ミスがあったときの対応期間が長すぎないか
納品した成果物にミスがあった場合に備えるために、瑕疵担保責任と呼ばれる項目があります。
瑕疵担保責任は、納品物を修正する期間を決める項目で、主に請負契約でクライアントから要求されるケースが多いです。
対応期間が長すぎると、個人事業主が無償で働く時間が増えてしまいます。
そのため「納品から1ヶ月程度」のように、なるべく短く設定することが大切です。
10.納品物の権利がどちらにあるか
納品物の著作権や知的財産権が、クライアントと個人事業主のどちらにあるか確認しておきましょう。
業務委託の場合は、基本的に納品後の権利はクライアントへ帰属するケースが多いです。
成果物をポートフォリオとしてSNSやブログへ掲載したい場合は、クライアントに交渉しておくといいでしょう。
個人事業主が業務委託契約を結ぶときによくある3つのトラブル
こちらでは、業務委託契約をするときにありがちなトラブルについて解説します。
- 偽装請負で働かされる
- 一方的に不利な契約を結ばれる
- ハラスメント行為を受ける
1つずつ見ていきましょう。
1.偽装請負で働かされる
偽装請負とは、業務委託として契約しているにもかかわらず、個人事業主が雇用契約のように労働者として働かされることです。
具体的には、以下のようなケースで働いている場合は、偽装請負を疑う必要があります。
- クライアント側から出社や退社時間が定められている
- 業務の手順に関する具体的な指示がある
- 複数人から仕事の指示を受ける
偽装請負の疑いがある場合は、知り合いの弁護士や労働基準監督署へ相談しましょう。
2.一方的に不利な契約を結ばれる
クライアントと取引するとき、個人事業主側に不利な内容の契約を結ばれることがあります。
特に取引の契約書をクライアントが作成している場合、自社が有利になるような条件であるケースが多いです。
そのため、個人事業主は注意深く契約書を確認しておかないと、劣悪な環境で働かされる恐れがあります。
3.ハラスメント行為を受ける
契約中のクライアントから、ハラスメントを受けたという事例があります。
個人事業主は仕事を受注する側なので、クライアントよりも立場が弱くなりやすいです。そのため、クライアントから断りにくい提案をされたり、高圧的な態度を取られたりする可能性があります。
実際に「要求を断ったら仕事を回さなくする」「スキル不足で使えない」のような発言を受けたという事例が存在します。
ハラスメントの対処法を知らず、泣き寝入りする方が多いのが現状です。
個人事業主が契約書のトラブルを避ける3つの対策
こちらでは、契約書に関するトラブルを避けるための対策を解説します。
- 信頼できる取引相手を見つける
- クラウドソーシングサイトを活用する
- 相談相手を確保する
1つずつ見ていきましょう
1.信頼できる取引相手を見つける
トラブルを回避するには、なるべく信頼できる相手と取引することが大切です。
特に、オフラインでの交友がある方や共通の知人がいる相手から仕事を受注すれば、お互いが安心して取引できます。
- 過去に勤めていた会社から引き継ぐ
- コミュニティ内で知り合った方から受注する
- 同業者の知り合いから紹介を受ける
など、信頼できる相手に積極的に声をかけてみるといいでしょう。
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仕事の受発注が頻繁に行われているので、気になった方は気軽に参加してみてください。
2.クラウドソーシングサイトを活用する
個人事業主になって間もない方は、クラウドソーシングサイトを活用することで、契約書のトラブルを回避できます。
というのも、クラウドソーシングサイトがクライアントと個人事業主の間に仲介業者として立ち会ってくれるため、不利な契約や法律違反が発生しにくいのです。
ランサーズやクラウドワークスであれば案件数が多いため、仕事が少ない個人事業主の強い味方といえます。
仲介手数料が取られてしまうというデメリットはありますが、仕事に慣れるまでは積極的に活用するといいでしょう。
3.相談相手を確保する
相談相手がいれば客観的な意見を聞けるので、より安全に契約を交わしやすくなります。
特に法律に詳しい相談相手が身近にいれば、契約書や取引上のトラブルに関する質問がしやすいです。
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