「IT土方とは?」
「どんな仕事がIT土方というの?」
「IT土方か脱出する方法が知りたい」
IT業界で「IT土方」という言葉を耳にすることはありませんか。
IT土方という言葉が誕生したのには、過酷な労働環境などが背景にあります。IT業界で働くなら、IT土方として働くのは避けたいですよね。
そこで、こちらの記事では以下の内容について解説していきます。
- IT土方の概要
- 年収目安
- IT土方から抜け出す方法
- これからIT業界を目指す人が失敗しないための対策
IT業界で働く方やこれから目指したいと考える方は、ぜひ参考にしてみてください。
「IT土方」とは過酷な労働環境などにより生まれた俗語
そもそも「土方」とは、土木・建築業界で使われる用語です。安い賃金で過酷な労働を強いられる作業員に対して使われる事が多く、差別用語とされるケースもあります。
IT業界も土木・建築業界と似た構造です。元請けがあり、2次請け、3次請けと下請けに作業が流れていきます。場合によっては4次・5次が存在するケースもあるようです。下請けは、さらに「孫請け」に作業を依頼します。
下請けになればなるほどマージンを抜かれ、安い賃金で大量の単純作業が回ってきます。そして、孫請けに流れてくる仕事は特別な知識や技術がなくてもできるものばかりです。
土木作業員が3K(きつい・汚い・危険)であるのに対し、IT土方は新3K(きつい・帰れない・給料が安い)と表現されることも。IT業界でも孫請けの仕事は賃金が安く長時間労働を強いられることから「IT土方」と呼ばれるようになりました。
IT土方の仕事内容は下流工程の単純作業
IT土方の仕事内容は、高いスキルを必要としない下流工程である単純作業を担当することがほとんどです。
一例として以下の通りです。
- 設計書どおりにコードを入力する
- 簡単な修正をおこないプログラムを正常に動作させる
- プログラムに使われる関数の名前を修正する
- すでに用意されているテストスクリプトに従ってひたすらボタンを押す
- プログラムが正常に稼働しているか定期的に確認する
深い知識がなくてもできる作業が多く、安い賃金で大量の仕事が回ってきます。納期が決まっているため、期限内に作業が終わらなければ残業や休日出勤をさせられることがあります。
また、誰でもできる仕事であることから、一定以上のスキルをつけることが難しく、キャリアアップがしづらいです。
IT土方の年収目安は250~350万
IT土方の年収は、だいたい250~350万円です。プログラマーの平均年収を「求人ボックス」で見てみると、正社員で平均年収が約419万円です。
給与幅は317~790万円以上と広いため、419万円という平均年収となっています。実際には317~376万円のボリュームが多く、国税庁が発表している令和4年分 民間給与実態統計調査からわかる日本の平均年収の458万円よりやや低い傾向です。
IT土方はさらに下請けの仕事を担うため、正社員のプログラマーよりも年収が低いと考えられます。
実際にSNSでIT土方の年収について見てみると、250万円~という声が見られました。
IT土方で年収300万とか珍しくないのがな。
俺が務めてた会社はボーナスと残業代出てたからまだマシだけど、それら抜くと年収250万ぐらいだったよ
東証一部上場企業でチームリーダー経験あってこれだからね— あーく (@arcREXEX) January 28, 2021
IT土方は新3K(きつい・帰れない・給料が安い)と言われるように、年収が低い人が多いことがわかります。IT土方からなるべく早く脱却できるように、行動に起こすことが大切です。
IT土方であるかの見分け方5選
ここでは、IT土方であるかの見分け方5選について解説します。
- 年収が上がらない
- 客先常駐が多い
- 単純作業が多い
- 残業が多い
- 求人のハードルが低い
1つずつ見ていきましょう。
1. 年収が上がらない
業務の内容が単調なことから単価が上がりにくいため、キャリアの成長が期待できず年収が上がりにくい傾向があります。
IT業界は、スキルレベルに応じて年収が上がることが多いです。しかし、IT土方の場合単純な業務内容が多く単価が上がりにくいため、給与が低いまま停滞しやすい傾向にあります。
さらに、IT土方の仕事は元請けから離れていることが多く、マージンが多く引かれています。結果的に社員に支払える給料を上げられないことが多いです。経験が浅いうちは「この給与でも仕方ない」と思っていても、IT土方から抜け出さなければ大幅な年収アップは期待できません。
年収が上がらないという点は、IT土方かどうかを見分ける際の明確なポイントです。
2. 客先常駐が多い
IT土方の単純作業は、客先常駐の案件に多い傾向があります。
下流工程の作業で人手が不足している場合、企業は直接雇用するより外部の人材を活用する方が人件費を抑えられます。上流工程の作業は常駐先の社員が行っていることが多く、派遣されたエンジニアに下流工程の業務を任せていることが多いです。
例えば、あるアプリケーションの開発を行っているプロジェクトに、客先常駐として派遣されるとします。派遣者はテスト業務のみ行い、設計や要件定義が全く行えない場合は少なくないです。
客先常駐が主な勤務形態となっている場合、IT土方である可能性が高いと言えます。
3. 単純作業が多い
IT土方の仕事は単純作業が多く、創造性や専門性が低い傾向があります。
IT土方と呼ばれる仕事は、三次請け以降であることが多く、テストやデータ整理の作業などがあります。クリエイティブな仕事は元請けの会社が行っていることが多く、単純作業の繰り返しであることが多いです。
例えば、IT土方と呼ばれる仕事の一部にマニュアル作成やシステムの監視などの業務が挙げられます。
単純作業であることから、クリエイティブな思考や問題解決能力を必要としないため、スキルアップやキャリアの発展につながりにくいです。仮に、自分でプログラミング言語を勉強していたとしても、活かせる機会は少ないでしょう。
単純作業の多さはIT土方の特徴であり、行っている業務がクリエイティブな部分を担っているかで見極められます。
4. 残業が多い
IT土方かどうかを見分ける重要なポイントの一つは、残業が多いかどうかです。
IT土方と呼ばれる仕事は、過酷な労働環境に置かれがちであり、作業量が膨大であることがあります。プロジェクトの納期が厳しい場合や、人手不足が常態化している場合、労働者は無理なスケジュールで作業をこなさないといけません。
また、納品前に急に仕様変更ややり直しを指示されるケースがあるため、残業だけではなく休日出勤をしないといけないケースがあります。そのため、残業時間が多く、休日出勤をしないといけないケースがあります。
納期に間に合わせるため、残業や休日出勤で切り抜けることはデスマーチと呼ばれています。IT土方になると、デスマーチに遭遇する確率が高く、労働時間が長いことで健康面に支障が出てしまうことがあるでしょう。
頻繁な残業や休日出勤が求められる職場環境は、IT土方である可能性が高いです。しかし、残業が多い部分だけでIT土方と決めつけるのではなく、他の要因も合わせて客観的に判断しましょう。
5. 求人のハードルが低い
ITの下流工程の作業は、比較的単純なものが多く専門的なスキルや経験を必要としないことが多いです。人を選ばない仕事が多いことから、応募条件が緩い傾向にあります。
例えば、IT土方の求人では未経験者歓迎といった条件が多く見られます。業務内容として、マニュアル作成や指示書通りの動作になるかテスト作業をなどの業務であることが多いです。
求人で応募条件が極端に緩いものは、IT土方である可能性が高いと言えます。しかし、全ての未経験歓迎の求人がIT土方というわけではないため注意が必要です。
IT土方から抜け出す方法5選
IT土方から抜け出すには、いくつかの選択肢があります。こちらでは、5つの方法を紹介していきます。
- 自社サービスを持つ企業に転職する
- 転職エージェントを利用してホワイト企業に転職する
- フリーランスになる
- 他の業界に転職する
- スキルアップする
1つずつ見ていきましょう。
1. 自社サービスを持つ企業に転職する
IT土方から抜け出すなら、自社サービスを持つ企業に転職するのがおすすめです。自社開発の仕事は、何を作っているのかよくわからない下請けの仕事と違い、1つのサービスを作り上げるまで長期的に関われるのがメリットです。
また、製品を作ったら終了ではなく、クライアントから評価を受けたりユーザーから意見を聞いたりしてより良いものを作ろうと改善していきます。
さまざまな工程に関われるので、スキルが身につき上流の仕事にも携われるチャンスが増えます。仕事の楽しさを感じられて、高いモチベーションを持って仕事に取り組めるのも良い点です。
2. 転職エージェントを利用してホワイト企業に転職する
転職エージェントを利用して、優良企業に転職するのもIT土方を抜け出す方法の1つです。転職エージェントは、自分のスキルや希望条件に合う求人を紹介してくれるサービスです。
キャリアを十分ヒアリングした上で、応募書類の書き方や面接のコツなど転職に関することは何でも相談に乗ってくれます。
求人広告を見ただけでは、ホワイト企業かどうか見極めるのは難しいものです。プロの力を借りて、働きやすい企業を探すのがおすすめです。
3. フリーランスになる
IT土方を脱出するには、フリーランスになる方法もあります。個人事業主となるので、仕事の内容は自由に選択できます。
在宅ワークで自由なスタイルで働くのも良いでしょう。年収アップを狙うなら客先常駐型の仕事を選ぶのがおすすめです。
ただし、フリーランスとして活動するには営業力やある程度のスキルは必須です。スキル不足だと感じたら、オンラインスクールなどを利用して実力をつけることも検討してみてください。
人生逃げ切りサロンは、ITに関するさまざまな講座が受講できるオンラインサロンです。福利厚生を利用できるという、フリーランスには心強いサービスも提供しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
4. 他の業界に転職する
IT土方として働き「この仕事は合っていない」と感じたら、思い切って他の業界に転職するのも選択肢の1つです。異業界へ転職するとしても、ITのキャリアが無駄になる事はありません。
例えば、営業職ならIT業界を相手にする職場で知識を活かせるので重宝されるでしょう。事務職でも、機械に強ければ社内システムにかかわる仕事を任されることもあります。
業界が違うとしても、IT業界の職歴を活かせる仕事は多数あります。気になる仕事があれば転職にチャレンジしてみるのがおすすめです。
5. スキルアップする
IT土方から抜け出すためには、スキルアップが重要なステップです。
スキルアップをすることで、単純作業ではなくウェブサイトやアプリ開発のプロジェクトへ参加など、キャリアの選択肢が広がります。また、IT業界の変化は激しいため、新しい技術やツールが次々と登場します。
業界の変化に対応し続けるためには、常に自分の知識をアップデートし、トレンドに遅れないようにすることが重要です。
例えば、現在java言語のみ扱える状態だったとします。新しくjavascriptやPythonを扱えるようになることで、Webサイトに動きをつけることやアプリ開発など対応できる案件の幅が広がります。
自分がこれから対応していきたいと思う仕事について深く調べて、実現できるスキルを身につけることが重要です。
IT土方から抜け出すには、スキルアップが不可欠です。新しい技術を学び自分の市場価値を高めることで、単純作業ではなく魅力的でやりがいのあるキャリアを築けるでしょう。
これからIT業界を目指す人が失敗しないための対策5選
「これからIT業界を目指したいけど、でもIT土方として働くのは避けたい」と考える方に向けて、IT業界への就職に失敗しないための対策を5つ紹介します。
- IT業界でどんな職種を目指すのか明らかにする
- 企業研究をしっかり行う
- スキルをしっかり身につけてITの理解を深める
- ブラック企業の求人を見極める
- IT業界に特化した転職エージェントを利用する
就職してから後悔しないように、ぜひ参考にしてみてください。
1. IT業界でどんな職種を目指すのか明らかにする
IT業界といっても、さまざまな職種や働き方があります。漠然と「IT業界に就職したい」と考えていると、なかなか仕事が見つからず就職しやすいIT土方を選んでしまうリスクが高まります。
IT業界を大きく分けると、以下のような分類です。
- インターネット・Web業界
- ソフトウエア業界
- ハードウエア業界
- 通信業界
- 情報処理サービス業界
さらに、各業界の中にもそれぞれ多数の職種があります。例えば、Web業界だけでも以下の職種が挙げられます。
- Webディレクター
- Webプロデューサー
- Webプランナー
- Webデザイナー
- Webエンジニア
- Webライター
- Webマーケター
どんな業界・職種を選択するかを明確にして、その仕事に携われる企業を探すことが大切です。
2. 企業研究をしっかり行う
目指す業界・職種が決まったら企業研究を徹底的に行いましょう。以下の項目を重視すると良いでしょう。
- 育成環境が整っているか:特に未経験の場合しっかりスキルが身につく企業を選ぶことが大切
- 企業の雰囲気や環境が合っているか:自身が働きやすい社風であるか
- 福利厚生が整っているか:働きやすさを決める大切な要素
企業情報を見るだけでは大切なポイントを逃しがちなので、ぜひ上記のポイントを押さえて企業を比較してみてください。
また、企業研究を行う際には、口コミサイトを確認することで、社員のリアルな声が掲載されています。実際の労働環境や社風など、公には見えにくい部分を事前に知れるため、入社後のミスマッチを減らせるでしょう。
3. スキルをしっかり身につけてITの理解を深める
IT業界が全く未経験なら、ある程度スキルを身につけてITの理解を深めておくのがおすすめです。まったくの未経験で業界知識がないと、なかなか採用されない可能性があります。
「どこでもいいから就職したい」という気持ちになってしまうと、IT土方と言われる仕事に就くリスクが高まります。
スキルや知識があれば、実務経験がなくても企業に対する大きなアピールポイントになるでしょう。大きな企業に就職できるチャンスもアップするので、ぜひスキルアップを目指してみてください。
4. ブラック企業の求人を見極める
ブラック企業の求人を見極めるのも、就職に失敗しないコツです。3つのポイントを押さえてみてください。
大量募集している企業は避ける
大量募集している企業は、IT土方のリスクが高まります。下請けの仕事を多数保有していて、とにかく多くの人を集めたい企業である可能性が高いためです。
また、頻繁に求人を出している企業も要注意です。人が定着しないブラック企業であることが予測できます。求人情報を見るだけである程度判断できるので、ぜひ確認してみてください。
固定残業代の有無を確かめる
IT企業を選ぶ際は、固定残業代の有無を確かめることが大切です。固定残業代は、毎月固定の手当がもらえるものです。残業無しでも手当が出るのでメリットのように思えますが、働いた分に見合った金額がもらえない可能性があります。
固定残業代を採用している企業はブラックのケースが多いので、注意しておくのがおすすめです。
面接をしっかり行う企業を選ぶ
実際に面接まで進んだ際は、しっかり対応してもらえたかどうかも判断基準の1つです。優良企業は、自社にとって有益な人材を獲得するために能力や人柄をしっかり知ろうとします。
しかし、ブラック企業の場合は人手不足を解消したいため、ろくに面接をしなくても採用します。面接が適当だったり、社内の雰囲気があまりよくなかったりするなら、内定が出ても断るのが無難です。
5. IT業界に特化した転職エージェントを利用する
IT業界への就職に失敗したくないなら、転職エージェントの利用がおすすめです。
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