「フリーランス保護新法ってどんな法律?」
「発注事業者が抑えておくべきことは?」
「法律のポイントを簡潔に知りたい」
このように悩んでいませんか?
フリーランス保護新法が成立されたのは知っているけれど、具体的にどのような内容なのか理解していない方もいるのではないでしょうか。
発注事業者や個人事業主なら、フリーランス保護新法の内容は必ず抑えておくべきです。とはいえ、公表されている文章はどれも難しいため、わかりやすくまとめて欲しいという方もいるでしょう。
そこでこの記事では、フリーランス保護新法に関する以下の内容について、どこよりもわかりやすく解説します。
- フリーランス保護新法の概要
- 抑えておくべきポイント
- フリーランスと発注事業者への影響
- 施行日に向けて今からできること
フリーランス保護新法によって契約のやり方が大きく変わるので、ぜひ最後まで読んで法律の内容をチェックしてみてください。
フリーランス保護新法とは?概要を解説
そもそもフリーランス保護新法とは、どのような法律なのでしょうか。こちらでは、フリーランス保護新法の概要について、わかりやすく解説します。
- フリーランス保護新法
- 成立の背景
- 下請法との違い
1つずつ見ていきましょう。
1.フリーランス保護新法
フリーランス保護新法の正式名称は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)です。
一言でいうと、企業と取引するフリーランスを守るために作られました。
取引においてフリーランスは受注者という状態から、企業よりも立場が弱くなりやすいです。そのため、以前から取引でのトラブルが問題になっていました。
そこでフリーランスが快適に働けるように、今回のフリーランス保護新法が成立したというわけです。
フリーランス保護新法の対象となるフリーランスとは、従業員を雇っておらず、個人で収入を得るために活動している事業者を指します。
なお、2023年4月28日に可決されましたが、具体的な施行日は決まっていません。2024年の秋までには施行されるといわれています。
2.成立の背景
フリーランス保護新法が成立した背景には、フリーランスの人口増加と、トラブルの多さが関係しています。
大手クラウドソーシングサイトのランサーズの「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」によると、2015年時点では937万人だったフリーランスの人口が、2021年では1577万人まで増えました。
多くの方が始めているフリーランスという働き方ですが、実はトラブルの多さも問題になっています。
令和2年に内閣官房日本経済再生総合事務局が公表した「フリーランス実態調査結果」では、業務委託を受けたフリーランスの中で、取引先とトラブルを経験した方は全体の37.7%でした。
よくあるトラブルの内容は以下の通り。
- 発注のときに報酬や業務の内容などが明示されなかった
- 報酬が契約していた期日に支払われなかった
- 報酬の未払いや一方的な減額があった
- 仕様や作業期間・納品日を一方的に変更された
- 仕事の業務内容や範囲について揉めた
- 不利な条件での取引を求められた
このように立場が弱くなりがちなフリーランスを守るために、今回のフリーランス保護新法が成立したという背景があるのです。
3.下請法との違い
事業者(フリーランスを含む)を守るために、すでに下請代金支払遅延等防止法(下請法)という法律があります。
下請法は、発注者が事業者に対して不利な条件で取引を進めたり、報酬の支払いが遅くなったりなどの行為を禁止するための法律です。
ただし、下請法で対象となるのは、発注側の事業者の資本金が1,000万円を超えている場合の業務委託契約に限られてしまいます。
資本金が1,000万円以下の事業者から発注されてしまい、個人で活動する多くのフリーランスは下請法の対象外になっていました。
フリーランス保護新法が施行されれば、下請法のみだと守れないフリーランスにも対応できるようになるといわれています。
フリーランス保護新法で抑えておくべき6つのポイント
フリーランス保護新法の中身とは、どのような内容なのでしょうか。
こちらでは、内閣府の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案の概要」をもとに、発注事業者がフリーランス保護新法の内容で抑えておくべきポイントについて解説します。
- 書面を明示する必要がある
- 支払い期日が指定されている
- 禁止事項が明確にある
- 正しい募集の記載が求められる
- 働きやすい環境を整備する必要がある
- 中途解約時は事前予告する必要がある
フリーランスと発注者の両方に重要な内容なので、ぜひ今のうちから理解しておきましょう。
1.書面を明示する必要がある
発注事業者は、フリーランスと業務委託契約するとき、お互いが確認できるように文字で明示する必要があります。
具体的には契約書などの書面、もしくはメールやチャットツールなどで、以下の内容を明示しなければいけません。
- 仕事内容
- 報酬金額
- 支払いの期日
このような内容を文字で残しておくことで、仕事中や納品後に契約条件に関するトラブルを避けやすくなります。
以前までは口頭のみで取引をしていた場合でも、フリーランス保護新法が施行されてからは、書面で取引内容を明確にしてから発注するようにしましょう。
2.支払い期日が指定されている
フリーランス保護新法では、報酬の支払い期日が60日以内に指定されました。
つまり、フリーランスが成果物を納品したり、サービスを提供したりした日から、事業者は60日以内に報酬を支払う必要があるということです。
注意すべき点として、月末締めの翌々月末払いだと、支払いが60日を超えてしまう場合があります。
また業務委託された仕事の一部を他のフリーランスに委託する(再委託)の場合、発注元からの支払いを受けた日から数えて、30日以内に報酬を支払わなければいけません。
このように報酬の支払いが先延ばしになった場合は、違法になるのも今回の内容の1つです。
3.禁止事項が明確にある
フリーランス保護新法では、禁止事項が明確に定められています。禁止事項は以下の7つ。
- 成果物の受領を拒否すること
- 報酬を減額すること
- 成果物を返品すること
- 相場よりも極端に低く報酬の額を決めること
- 正当な理由なく商品の購入やサービスの利用を強制すること
- 発注事業者のために金銭や役務、その他の経済上の利益を提供させること
- 不当に仕事の内容を変更ややり直しをさせること
1〜5までの項目は、発注事業者が禁止すべき行為です。さらに6と7の項目によって、発注事業者はフリーランスに不利益を及ぼすことも禁止しています。
つまり、これらの禁止事項は、発注事業者の立場が上になりやすいからといって、フリーランスに何かを強制させることを止めるためのものです。
4.正しい募集の記載が求められる
発注事業者はフリーランスを募集するときに、マッチングサイトや広告などを利用することがあります。
フリーランス保護新法の施行後は、募集する媒体に正確な内容を記載しなければいけません。
というのも、フリーランスを集めるために、虚偽や誇張表現を使う発注事業者がいました。
例えば、未経験OKや初心者大歓迎という文章を全面に出して、実際は雑用などの募集要項と違う内容の仕事を強制させるといったケースです。
フリーランスを守るために、募集要項に誤解を招く表現や虚偽の内容を記載するのは禁止されました。
5.働きやすい環境を整備する必要がある
発注事業者はフリーランスに対して、自社の従業員と同じように、働きやすい環境を整備しなければいけません。
具体的なポイントとしては、以下の通りです。
- フリーランスの育児や介護に配慮する必要がある
- ハラスメント行為の対策や相談に対応しなければいけない
フリーランスから上記のような相談を受けた場合は、状況に応じて必要な配慮が求められるようになりました。
6.中途解約時は事前予告する必要がある
フリーランスに対して契約期間の途中で解約を告げる場合は、30日前までに予告が必要になりました。
さらにフリーランス側から解約の理由を告げて欲しいと言われた場合は、発注事業者は回答しなければいけません。
以前までは突然解約されて、収入が急に減ってしまって精神的なストレスを抱えても、泣き寝入りするしかないというケースがありました。
今回のフリーランス保護新法によって、フリーランスは中途解約を事前に把握できるので、契約後の行動を取りやすくなったといえます。
フリーランス保護新法による発注事業者への影響を解説
こちらでは、フリーランス保護新法によるフリーランスと発注事業者への影響について解説します。
- フリーランスへの影響
- 発注事業者への影響
それぞれ詳しく見ていきましょう。
フリーランスへの影響
フリーランスにとっては、今回の法律によって今までよりも安心して、日々の仕事に取り組めるようになったといえます。
というのも、新しい義務や禁止行為が明確になり、企業との適正な取引ができるようになったからです。
以前までのフリーランスは、発注者よりも立場が弱くなりやすいという課題がありました。
- 格安で仕事を引き受けてしまう
- 何度も無償でやり直しを要求される
- 取引相手に逃げられてしまった
などの待遇でも、泣き寝入りするしかないことも多々ありました。
フリーランス保護新法が施行されることで、万が一トラブルが発生しても、法律を味方にして解決しやすくなったといえます。
発注する事業者への影響
発注側の事業者にとっては、今までよりもフリーランスとの取引で注意すべきポイントが増えました。
なぜなら保護新法で定められた項目を破ってしまうと、罰則が適用されるからです。そのため、施行日に向けて、以下のような対策を行っておくといいでしょう。
- 業務委託用の契約書の雛形を作成する
- フリーランスの募集内容を確認する
- 社内向けマニュアルを作成して配布する
またホームページやSNS等で、社外向けにフリーランス保護新法に対応している事実を発信することも大切です。
フリーランス保護新法に違反したら50万円の罰金が科される
発注事業者がフリーランス保護新法に違反した場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、公正取引委員会や中⼩企業庁⻑官、厚⽣労働⼤⾂から以下のような指導が行われます。
- 助⾔
- 指導
- 報告徴収
- ⽴⼊検査
- 勧告
- 公表
- 命令
社名が公表されてしまうと、企業のブランドイメージにも大きな影響があるかもしれません。このような行政指導を受けないためにも、フリーランス保護新法を理解して、施行日に向けてできることを実行する必要があります。
【フリーランス向け】施行日に向けて今からできる3つのこと
こちらでは、フリーランスが施行日に向けて今からできる対策を解説します。
- 契約書を結ぶ
- 複数のクライアントと契約する
- 同業者とつながっておく
ぜひ参考にしてみてください。
1.契約書を結ぶ
今まで口頭で企業と取引していた方は、契約書を結ぶようにしましょう。
「作り方がわからない」という方でも、今はソフトを使えば、簡単に請求書を作成できます。
フリーランスが契約書を作るときに、記載すべき項目は大きく7つ。
- 契約内容や目的
- 報酬額と支払い方法
- 契約期間や形態
- 損害賠償のリスク
- 秘密保持
- 著作権の譲渡
- キャンセル料金や着手金
以下の記事では、契約書を作るための詳しい情報について解説します。ぜひこちらも合わせて参考にしてみてください。
▼フリーランスの契約書に書くべき項目について知りたい方はこちら▼
【完全版】フリーランスの契約書に書くべき項目7選!必要な理由やコツも徹底解説
>>【完全版】フリーランスの契約書に書くべき項目7選!必要な理由やコツも徹底解説
2.複数のクライアントと契約する
フリーランスにとって、取引相手の数が少ないのは危険な状況です。
取引相手が少ないと、契約がなくなった瞬間に収入が大幅に減ってしまいます。
「フリーランス実態調査結果」によると、事業者から業務委託を受けて仕事を行うフリーランスのうち、1社のみと取引している方は4割で、2社と取引している方は18.0%でした。
つまり、約6割のフリーランスが、1〜2社としか契約してないということです。クライアントが少ない状況だと、どうしてもフリーランス側が相手の要望に答えるようになり、立場が弱くなってしまいます。
そのため、今からでも取引相手の数を増やすように心がけましょう。
3.同業者とつながっておく
フリーランスの仲間を作っておくことで、クライアントとのトラブルがあったときに第三者の意見を聞けます。
誰にも相談できないと、トラブルの対処法がわからず、泣き寝入りする羽目になりかねません。
- フリーランスのコミュニティ
- ビジネス交流会
- SNSの情報発信
などを通じて、悩みを相談できる仲間とつながるといいでしょう。
なお、フリーランスの仲間を見つけたい方は、人生逃げ切りサロンというオンラインサロンがおすすめです。
約5,000人のフリーランスや副業に取り組む方が所属しており、定期的にオフイベントが開催されているため、同業者を簡単に見つけられます。
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