「フリーランスも確定申告が必要?」
「収入がいくらになったら確定申告するの?」
「確定申告のやり方が知りたい」
フリーランスになると、確定申告を自分自身で行わなければなりません。税理士に依頼する方法もありますが、費用がかかるので駆け出しのフリーランスではなかなか難しいもの。
まずは自分で確定申告する方法を知り、どうしても難しい場合には専門家に頼ることを検討するのがおすすめです。
しかし、自分で行う場合、収入が少なくても確定申告が必要なのか、どんな手順で進めていけばいいのかなど、わからないことだらけの方も多いのではないでしょうか。
そこで、こちらの記事では、以下の内容を解説します。
- フリーランスで確定申告が必要・不要なケース
- 確定申告をするメリット・デメリット
- フリーランスの確定申告は「白色申告」よりも「青色申告」がおすすめ
- 確定申告のやり方
- 確定申告に不備があったらどうなる?
フリーランスになったばかりで、確定申告のやり方に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
フリーランスで確定申告が必要な3つのケース
フリーランスになったら、必ずしも確定申告を行わなければならないということはありません。
こちらでは、確定申告が必要な3つのケースを紹介します。
- 合計所得金額が48万円を超える
- 本業以外にアルバイト収入がある
- 本業以外に株取引や不動産投資をしている
ご自身は確定申告が必要なのか、チェックしてみてください。
1.合計所得金額が48万円を超える
所得が48万円を超える場合、原則として確定申告が必要です。48万円というのは、基礎控除額が関係します。基礎控除とは、確定申告の際に総所得額から差し引ける控除の1つです。なお、基礎控除額は合計所得金額に応じて異なります。
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
所得が48万円以下の場合、基礎控除を引くと0円になります。所得が0円なら税金を払う必要がないため、確定申告しなくても良いということです。逆に考えると、所得が48万円を超えれば税金を払う必要が出てくるため、確定申告は必須です。
2.本業以外にアルバイト収入がある
給与を2箇所以上で受けている場合、本業を含む所得の合計が20万円を超えたら確定申告が必要です。そのため、本業以外にアルバイトをしていて2つの収入を合わせると20万円超になる場合には、確定申告が必須です。
アルバイトは、会社と雇用契約を結ぶため、給与から所得税の源泉徴収が行われます。年末調整は会社で行ってくれるため、自分で手続きする必要はありません。
一方、本業での所得税の申告や納税は、自分自身で行う必要があります。
3.本業以外に株取引や不動産投資をしている
本業以外に、株取引やFXなどの譲渡益や家賃収入などの不動産所得が48万円を超える場合には、原則確定申告が必要です。
しかし、株取引やFXなどの譲渡益受け取りに特定口座を利用している場合には自動的に源泉徴収が行われるため、申告の必要はありません。
フリーランスで確定申告が不要な2つのケース
確定申告が不要なケースを2つ紹介します。
- 本業収入が48万円以下
- 赤字である
なお、確定申告が必要・不要については複雑です。もしご自身の状況がどっちなのか悩む場合には、所轄の税務署に相談するのがおすすめです。
1.本業収入が48万円以下
所得が48万円以下の場合、原則として確定申告は必要ありません。合計所得2,400万円以下の場合、適用される基礎控除は48万円です。
基礎控除を下回る場合は、支払う税金がないため確定申告は不要です。
また、たとえ48万円を超える収入があったとしても、社会保険料控除や生命保険控除などを適用すると所得控除額を下回ることがあります。この場合も、確定申告は原則必要ありません。
2.赤字である(白色申告の場合)
本業収入に赤字が出ている場合、所得税が発生しないため確定申告は不要です。
ただし、赤字の場合には確定申告により払いすぎた税金の還付を受けられる可能性があります。また、青色申告事業者なら確定申告により赤字を繰り越すことも可能です。そのため、赤字でも確定申告したほうが良いケースもあります。
フリーランスが確定申告をする4つのメリット
フリーランスで確定申告するのは、なかなか大変な作業です。しかし、確定申告を行うメリットもたくさんあるので、チェックしてみましょう。
- 節税できる可能性がある
- 還付金を受けられる可能性がある
- 収入状況を証明できる
- 青色申告なら赤字を3年繰り越せる
それぞれ詳しく見てみましょう。
1.節税できる可能性がある
確定申告すると、さまざまな控除を受けられます。そのため、節税できる可能性があります。
主な控除は以下のとおりです。
- 基礎控除
- 医療費控除
- 生命保険料控除
- 青色申告特別控除
- 寡婦控除
- 扶養控除
- 配偶者控除
- 勤労学生控除
など。さまざまな控除が適用されれば所得額を抑えられるため、節税につながります。
2.還付金を受けられる可能性がある
収入に対して課税対象になる必要経費や控除が多いと、源泉徴収により所得税を納めすぎていることがあります。しかし、確定申告すれば払いすぎた所得税は還付されるので安心です。
還付金は、確定申告後およそ1~2ヵ月ほどで指定の口座に振り込まれます。人によっては大きな金額になることもあるので、確定申告する大きなメリットの1つといえます。
3.収入状況を証明できる
フリーランスは、原則収入証明書がありません。もし、新たに住宅ローンを組んだり賃貸契約したりする場合には、収入証明書の提出を求められるでしょう。
そんなときに、確定申告の控えがあれば収入証明書として役立ちます。
フリーランスでも収入証明書を求められるケースはあるので、確定申告は毎年きちんと行うことが大切です。
4.青色申告なら赤字を3年繰り越せる
確定申告には、白色申告と青色申告があります。青色申告は、赤字を3年間にわたって繰り越せるメリットがあります。
事業を始めたての頃、初期費用にお金がかかったり、なかなか売上が上がらなかったりすることもあるでしょう。
もし、前年は100万円の赤字で次の年が200万円の黒字だったら、赤字を差し引いて100万円の黒字として税金を算出できるので、所得税を減らせます。
赤字であっても、確定申告するメリットはあるといえます。
フリーランスの確定申告は「白色申告」よりも「青色申告」がおすすめ
確定申告の方法には「白色申告」と「青色申告」がありますが、フリーランスには青色申告がおすすめです。
まず、青色申告では所得金額から最大55万円(一定の要件を満たすと65万円)の控除を受けられる「青色申告特別控除」があります。税金を減らせるので、よほどの理由がなければ青色を選択しましょう。
白色申告と青色申告の違いに、記帳方法が挙げられます。青色申告で控除を受ける場合には「複式簿記」という方法で記帳する必要があります。
白色申告の場合には「簡易(単式)簿記」で良いため、記帳の手間は青色のほうがかかるでしょう。
しかし、会計ソフトなどを使えば簡単に記帳できるので、手書きで作成するのでなければそれほど面倒に感じることはありません。
フリーランスの確定申告のやり方5ステップ
フリーランスが確定申告を行う手順を見てみましょう。
- 領収書やレシートなどの書類を集める
- 所得控除に関する資料を集める
- 確定申告書や明細書を作成する
- 確定申告書と添付書類を税務署に提出する
- 所得税の納付または還付を受ける
「フリーランスだから」といって、確定申告の手間がかかるわけではありません。ただし、個人で確定申告する場合には、これらを仕事の合間にこなさなければならないため、手順を押さえておくとスムーズです。
1.領収書やレシートなどの書類を集める
まずは、収入がわかる請求書や仕事で使った領収書・レシートなどの書類を集めましょう。1年間にどれくらいの収入・支出があったのか把握する必要があるためです。
日々の取引をその都度記帳していれば問題ありませんが、手を付けていない場合には確定申告のタイミングですべて記帳する必要があります。
収支内訳書や青色申告決算書にまとめていきましょう。
2.所得に関する資料を集める
所得控除に関する資料を集めましょう。例えば、
- 社会保険料控除証明書
- 生命保険料控除証明書
- 医療費の領収書
などが挙げられます。もし、所得控除が合計所得を下回った場合、納める税金が発生しないため確定申告の必要がなくなります。
ただし、赤字を繰り越したい方などは、もしマイナスでもこのまま手続きを行っていきましょう。
3.確定申告書や明細書を作成する
確定申告書を作成していきます。確定申告書の用紙は、国税局のホームページからダウンロードできます。その他、税務署や確定申告の特別会場などでも受け取り可能です。
確定申告では、さまざまな書類を作成する必要があります。作成の順序は、
- 請求書などの記帳
- 収支内訳書または青色申告決算書の作成
- 控除証明書類の収集
- 確定申告書
という流れがスムーズです。
4.確定申告書と添付書類を税務署に提出する
確定申告書ができたら、添付が必要な書類と一緒に税務署に提出します。税務署の窓口に直接提出する、または郵送も可能です。
簡単に済ませるなら、インターネット上で申告できる「e-Tax」がおすすめです。
5.所得税の納付または還付を受ける
確定申告が済んだら、所得税を納付します。なお、納付期限は確定申告書の提出期限と同じなので、ギリギリに提出する場合には注意が必要です。
納付金額がない場合には、約1~2ヵ月後に還付金が振り込まれます。
フリーランスが確定申告をするときに必要な書類
フリーランスが確定申告する際に必要な書類は以下のとおりです。
- 確定申告書B
- 青色申告決算書
- 支払調書(青色申告の場合)
- 収支内訳書(白色申告の場合)
なお、確定申告の際には、その他に本人確認書類が必要です。マイナンバーカードがあれば、それだけで手続き可能です。もし持っていない場合には、住民票の写しなどの個人番号確認書類と、運転免許証などの身分証明証の2つを提出しなければなりません。
手続きを簡単に済ませるなら、あらかじめマイナンバーカードを取得しておくのがおすすめです。
確定申告に不備があったらどうなる?3つのパターンと対処法を紹介
もし、確定申告を行った際に不備があったらどうなるのか心配ですよね。こちらでは、3つのパターンを紹介します。
- 期限に遅れた場合
- 納める税金が多すぎる・還付金が少なすぎる場合
- 納める税金が少なすぎる・還付金が多すぎる場合
それぞれ詳しく見てみましょう。
1.期限に遅れた場合
期限に遅れた場合は、まずできるだけ早く税務署に申告しましょう。期限をすぎると、無申告加算税が課されます。
しかし、期限から1ヵ月以内に自己申告を行えば「申告する意思があった」とみなされて課税を免れる可能性があります。
「どうせ間に合わない」と諦める前に、まずは税務署に事情を説明しておきましょう。
2.納める税金が多すぎる・還付金が少なすぎる場合
納めるべき税金が多すぎたり、還付金が少なすぎたりする場合には、更生の請求書を税務署長に提出しましょう。
払いすぎた税金は還付されます。なお、請求できる期間は法定申告期限から5年以内です。
3.納める税金が少なすぎる・還付金が多すぎる場合
納めるべき税金を少なく申告していたり、還付金が多かったりする場合には、修正申告を行う必要があります。
税務調査の通知前に自主的に申告を行えば「過少申告加算税」の追加徴収は避けられます。
もし、税務調査の通知を受けてから修正申告した場合には過少申告加算税が加算される可能性があるので、間違いがないかどうかしっかり確認することが大切です。
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