【まず確認】個人事業主に開業届の提出は必須?出す4つのメリットや記入方法を解説

「個人事業主は開業届の提出が必須?」
「開業届を出すとどんなメリットがあるの?」
「開業届はどう記入して提出すればいい?」
このような疑問を抱えていないでしょうか。

開業届は、税務署に対して事業を始めたことを届け出るための書類です。
開業届を出すことで、正式に個人事業主として認められます。

開業届を出さなくても罰則はないですが、さまざまなメリットがあるため提出するのがおすすめです。

そこでこの記事では、個人事業主の開業届提出について詳しく解説します。読み進めることで、以下のメリットが得られます。

  • 個人事業主が提出すべき開業届の種類が分かる
  • 個人事業主が開業届を提出するメリットを知れる
  • 開業届の書き方・提出方法で迷わなくなる

これから開業届を提出しようとしている人は、ぜひ参考にしてみてください。

個人事業主が提出する開業届の種類

個人事業主は、開業にあたって以下の書類の提出が必要です。

  1. 個人事業の開業・廃業等届出書
  2. 個人事業税の事業開始等申告書

それぞれ詳細や提出期限が異なるので、この機会に理解しておきましょう。

ひとつずつ詳しく解説します。

1. 個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業の開業・廃業等届出書は、一般的にいう「開業届」のことです。

個人事業を開業したことを、税務署に届け出るために提出します。

個人事業主は、開業後1ヵ月以内に開業届を提出しないといけません。

これは、所得税法229条で定められた個人事業主の義務です。

居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

参照:所得税法|e-Gov法令検索

現状では開業届の提出が遅れることでの罰則はないので、任意に近い状態となっています。

ただ、この後解説しますが、開業届は提出すると複数のメリットがあります。

1ヵ月経っていたとしても罰則はないので、遅れてでも提出するのがおすすめです。

2. 個人事業税の事業開始等申告書

個人事業税の事業開始等申告書は、個人事業の開始を申告する書類です。

都道府県税事務所に提出するもので、地方税(事業税、住民税)を納付するために必要な届出です。

個人事業税の事業開始等申告書は、各都道府県によって書式と期限が異なります。

たとえば東京の提出期限は事業開始から15日以内ですが、千葉県は事業開始から1ヵ月以内です。

書式に関しても都道府県ごと異なるので、お住まいの県でどのように定められているかよく確認しましょう。

個人事業主が開業届を提出する4つのメリット

個人事業主が開業届を提出するのは義務ですが、出さなくても特に罰則はありません。

それでも開業届には以下のメリットがあるため、提出するのがおすすめです。

  1. 青色申告を受けられる
  2. 経費になる項目が増える
  3. 事業用口座を開設できる
  4. 社会的信用を得られる

順番に見ていきましょう。

1. 青色申告を受けられる

青色申告は、事業所得・不動産所得・山林所得に対応した制度です。

青色申告だと最大65万円を控除できるので、大きな節税につながります。

同じ確定申告の方法でも、白色申告では最大10万円の控除なので大きな違いです。

また、青色申告なら、事業所得で赤字が出ても3年間繰り越せます。

翌年最大3年間の所得から赤字分を差し引けるので、前年の所得が減り、税金が還付対象となるのです。

青色申告であれば、税金の負担を大幅に減らせるため有効です。

2. 経費になる項目が増える

開業届提出で青色申告できるようになれば、家族への給与も全額経費にできます。

家族への給与が「青色事業専従者給与」として認められることで、経費の対象になるのです。

白色申告だと、家族への給与で経費にできるのは、

  • 配偶者:86万円
  • その他親族:50万円

の一部のみなので、大きな違いです。

家族に事業を手伝ってもらっている場合は、開業届の提出がさらなる節税につながります。

3. 事業用口座を開設できる

開業届の提出によって、屋号を使った事業用口座の開設が可能となります。

事業用口座を作りたい場合は、まず開業届の「屋号」の欄に名称を記載し提出します。

その後開業届の控えを持って銀行に行けば、事業用口座を開設可能です。

事業用口座を開設すれば、仕事とプライベートの資金を区別できて管理しやすくなります。

また、事業用口座は個人名義よりも信頼性が高く、仕事の依頼も受けやすいので、ビジネスチャンスを逃さずにすみます。

4. 社会的信用を得られる

開業届を提出していると、事業をやっていることが証明されるため、社会的信用につながります。

個人事業主に社会的信用があると、以下のメリットがあります。

  • クレジットカードやQRコード決済を導入可能(実店舗)
  • 銀行から融資を受けやすくなる

会社員と比べると、個人事業主はただでさえ社会的信用が低いです。

それでも開業届を出さないよりはずっと信用が高くなるので、提出することをおすすめします。

個人事業主が開業届を提出する3つのデメリット

個人事業主の開業届提出には、以下のデメリットもあります。

  • 失業保険を受給できない恐れがある
  • 医療保険組合によっては扶養から外れる
  • 青色申告の帳簿に手間がかかる

上記の中には、開業届の提出時期が影響するものもあります。

開業届提出で損をすることがないよう、よく理解しておきましょう。

ひとつずつ詳しく解説します。

1. 失業保険を受給できない恐れがある

開業届を提出すると、失業保険を受給できない恐れがあります。

個人事業主として開業することで、失業状態ではないとみなされるためです。

失業保険は「本人に再就職する意思と能力があること」が給付条件です。

そのため、開業届の提出は「再就職は考えていない」という意思表示につながり、失業保険の給付対象から外れてしまいます。

ただ、再就職手当はもらえる可能性があるので、申請を検討するといいでしょう。

2. 医療保険組合によっては扶養から外れる

開業届の提出により、加入している医療保険によっては扶養から外れるかもしれません。

扶養には「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2つの種類があります。

上記2つで問題になるのは、健康保険上の扶養です。

加盟条件を組合が決めており、中には個人事業主は入れないと定めているところもあるためです。

扶養の条件に関しては、加入する保険によって異なります。

医療保険組合の加盟条件を確認し、扶養から外れる場合は開業届提出を検討するのもひとつの手です。

3. 青色申告の帳簿に手間がかかる

開業届の提出によって可能となる青色申告は、帳簿に時間がかかります。

青色申告は「複式簿記」で記載する書類が多く「単式簿記」の白色申告より複雑なためです。

今ではさまざまな会計ツールが登場しているため、複式帳簿もある程度簡単になりました。

それでも青色申告を初めて行う場合は、苦労する可能性が高いです。

青色申告は節税効果が高いですが、その分帳簿に手間がかかることを認識しておきましょう。

個人事業主が開業届以外に提出すべき書類

個人事業主が提出すべき書類は、開業届以外に以下のものがあります。

青色申告承認申請書 青色申告で確定申告をするために必要。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 源泉所得制度の利用に必要。税金をまとめて納付できる
青色事業専従者給与に関する届出書 家族従業員の給与を経費計上できる

上記の中でも「青色申告承認申請書」は、節税のために提出するのがおすすめです。

そのほか2つの書類は、事業方針によって提出の必要性は異なります。

提出する場合は、開業届と一緒にすると手間が減らせてスムーズです。

個人事業主が開業届を提出する流れ3ステップ

開業届をどのように提出すればいいか、疑問に感じる人も多いです。

そこでここからは、個人事業主が開業届を提出する流れを解説します。

  1. 開業届を入手する
  2. 必要書類に記入する
  3. 税務署に提出

順番に見ていきましょう。

1. 開業届を入手する

開業届は、税務署が作成したフォーマットがあります。

全国各地の税務署で受け取れるほか、国税庁のホームページからのダウンロードも可能です。

参照:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)

2. 必要書類に記入する

入手した開業届の項目に沿って、記載していきます。

各項目の記入方法を以下の表にまとめました。

項目 記入方法
提出先と日付 開業届を提出する税務署と日付を記入
納税地・事務所 住所地・居所地・事業所の中で、納税地に当てはまるものを選択
事務所がない場合は、自宅を納税地として選択
氏名・生年月日・個人番号・職業 氏名・生年月日・個人番号・職業を記入
届出の区分 新規開業:「開業」に○をつけてその他は空欄。
所得の種類 不動産関係:不動産所得
山林関係:山林所得
その他:事業所得
開業・廃業日 開業する日にちを記入。自由に設定可能。
事業所等を新増設、移転、廃止した場合/廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合 新規開業時は記入不要。
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無 青色申告承認申請書を提出する場合は「有」を選択。
事業の概要 事業内容を記入。
給与等の支払い状況 従業員を雇用する場合に記入。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出するか確認する項目。
給与支払を開始する年月日 従業員への給与支払を始める年月日を記入。
関与税理士 関与税理士がいる場合のみ、氏名と電話番号を記入。

記入項目が多く大変に感じますが、特に複雑な内容を求めていません。

落ち着いてひとつずつ誤りのないように記入しましょう。

3. 税務署に提出

開業届を記入し終えたら、税務署に提出します。

税務署への提出は、郵送と直接受付に持参する2つの方法があります。

郵送は切手や封筒の購入代金がかかりますが、少ない手間で提出可能です。

切手は他の書類も提出するなら94円(50g以内の定型郵便)がいいですが、基本的には84円(25g以内)で問題ありません。

税務署の受付に持参する場合は、マイナンバーカードの提示が必要です。

また、開業届の控えに受付印をもらうのを忘れないようにしましょう。

個人事業主として成功するために必要なこと3選

開業届を提出すれば、正式に個人事業主としての活動が始まります。

ただ、個人事業主として働いていくのは簡単ではありません。

場合によっては個人事業主でうまくいかず、廃業してしまう恐れも。

廃業することなく個人事業主として成功するには、以下3つのことが大切です。

  1. 継続案件を獲得する
  2. 納期を必ず守る
  3. スキルを高める

順番に見ていきましょう。

1. 継続案件を獲得する

継続案件の獲得は、個人事業主としての仕事の安定に不可欠です。

継続的な依頼を受けられなければ、単発の仕事ばかりになり営業もやり続けないといけません。

そうなると営業に割く時間が多くなり、実務にかけられる時間が減るので、収益の安定が困難となります。

一方継続案件があれば、営業の負担が減るので実務にかける時間を増えます。

収益の安定につながるので、継続案件をひとつでも増やすことを意識しましょう。

2. 納期を必ず守る

クライアントからいただいた仕事は、納期厳守でこなしましょう。

当たり前のことに思えますが、できていない個人事業主は多いです。

そのため、納期を延長もなく守り続けられれば、それだけでクライアントからの信用を得やすくなるのです。

また、クライアントの信用が高まれば、継続案件の獲得や単価アップにつながり、収益も安定します。

どうしても納期が遅れてしまう場合は、できるだけ早めに連絡・相談をしましょう。

早い納期相談ならクライアントも対処しやすく、負担を減らせます。

3. スキルを高める

個人事業主として成功するため、専門スキルを高める努力を続けましょう。

どの業界でも、時代の変化に対応できないと生き残れなくなります。特にWeb関係は、変化が激しいので注意が必要です。

現状に満足し専門分野の勉強していないと、すぐスキル不足になり稼げなくなる恐れがあります。

個人事業主として長期的に活躍するため、常にスキルを高めることを意識しましょう。

とはいえ、常に最新の情報を把握し、必要なスキルを伸ばし続けることは独学では困難です。

そのため、専門スキルの学習は、第一線で活躍する人から教わるのが有効です。

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また、参加人数が多いため、個人事業主同士での人脈を広げることも可能。

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